長野市立小学校で2014年に確認されたいじめをめぐり、有識者らでつくる市いじめ問題再調査委員会は26日、荻原健司市長に報告書を答申した。市教委側が当初下していた、被害児童に発達障害があるために比較的軽度ないじめでPTSDを発症したとも解釈できる認定について「変更すべきだ」と判断。発達障害を理由にPTSDが発症したと断定することはできないとした。
当時の小学1年の児童は14年4~5月にかけて2人の同級生から複数回にわたり、背中や肩、腹をたたかれるなどした。児童はその後、別の学校に転校した。
保護者の訴えを受け、市教育委員会はいじめ防止対策推進法に基づき、深刻な被害があったとする「重大事態」として第三者委員会を設置。18年に報告書がまとまったが、被害者側が内容を不服として21年に再調査を要望。22年に市長部局主導で再調査委が立ち上げられた。
再調査の中で被害者側はいじめの内容について「2人から首を複数回、絞められた」と主張。再調査委は当時の同級生にアンケートを実施するなどして調べたが、「事実認定するまでの判断は困難」とした。
一方、再調査委は今回の報告書の中で、学校の初動対応などを不適切として市教委などに改善を求めた。複数人で事情を聴くなどマニュアルに沿った「組織的対応」ができていなかったと指摘。再発防止に向け「大人による子どもの権利の尊重」が重要とした。